top of page

研究手法の紹介

A) 衝撃超高圧による反応・材料科学

衝撃超高圧による反応科学

 ​爆薬は、原子力エネルギーを除けば、最もエネルギー密度の高い物質のうちの一つと言われています。その爆薬を直接的に物質に作用させる理化学実験は、世界的にも希な分野であり、High-strain-rate phenomena (高ひずみ速度現象)とも呼ばれる分野です。

 日本において、この分野の研究ができる施設を持つ大学は、崇城大学ならびに他1大学のみです。友重研究室は、その希有な研究施設である「衝撃先端技術研究センター 」の運営も担っています。

 爆薬が持つ極めて大きなエネルギーを利用して、極短時間、素材に数十万から百万気圧という超高圧力を負荷するという極限環境を利用すると、常温・常圧下では得られない現象や材料が得られるに違いありません。例えば、宇宙空間でのDebrisの衝突現象、地球のマントルに似た圧力下に材料を置いた場合の挙動、高圧力でしか存在し得ない材料の合成、通常では見られない結晶の高速度変形など、未知な現象にあふれた研究分野です。

 本研究室は、爆薬という理化学研究と関連しなさそうな物質を利用した研究の機会を皆さんに提供することができます。

 上記のような魅力あふれる不可思議な状態/空間を利用した科学・化学技術を得るチャンスが皆さんにはあります。

 「世界がうらやむ魅力的な研究施設」を利用して、一生に一度の大学での研究にチャンレジしてみませんか。

※1

​※1 平成13年に文部科学省から私学助成ハイテクリサーチ・センター整備事業として選定され,崇城大学に設置された。文部科学省へ提案した研究テーマは「爆発衝撃による超高圧発生とその新素材開発への利用」。

当研究室で行える超高圧研究の事例

熱間衝撃圧接

(1)セラミックス/金属系 異種材料の熱間衝撃接合

粉体の熱間衝撃固化

図04.png

世界で初めて当研究室で開発された高温の状態にして、異種材料を超高圧力で接合する方法です。これまでに、化学結合様式が異なる「セラミックス材料と金属材料」を比較的広い面積の接合材料を得ることに成功しています。

粉末圧搾

(2) 粉体の衝撃圧搾

図14.png

 当研究室では、外部加熱を行わずに、化合物を合成する際の化学反応熱を利用した効率的な熱間衝撃加工が可能です。

 これにより各種セラミックス材料や金属間化合物と呼ばれる機能的な素材を、その場で合成し、緻密化できる方法を実現しました。セラミックス材料や金属間化合物の融点は、数千度に達するものが多く、電気炉などを用いた合成や緻密化の方法では緻密化に長時間かかったり、さらには電気炉で消費される大量のエネルギーが必要であったりと効率的ではなく、省エネルギーが叫ばれる現在状況にそぐいません。

 本方法は、数分間で目的の化合物を合成し、緻密化まで終了させることができます。

(3) 異種金属板の爆発圧接

通常爆発圧接
図9.png

 異種金属材料を組み合わせると、それぞれの特性を兼ね備えた複合材料と呼ばれる機能性材料が得られる。一般的に、その複合材料を得るためには、圧延という方法で行います。一方で、対象となる金属材料の結晶系が異なると素材の特性が変わります。また、融点が異なっても圧延による接合は難しくなります。一方で、爆薬による衝撃加工でも異種金属の接合が可能です。その特徴は、接合界面が波状になる(一部の組合せでは平滑な界面になる)ことです。このことから各素材がお互いにくさびを打ち込んだ形となるため、爆発時の接合の強さと相まって強固な接合材料が得られます。

1TPa

(4) 1 TPa オーダーの超高圧発生と新物質の合成

図block.png

​ア)

図jet.png

イ)

図melt.png

​ウ)

 爆発圧接法で金属の板材が接合されるときに波状界面が現れることを説明しました。これは、金属板が衝突するときにメタルジェット(Metal Jet)と呼ばれる液滴状の金属が噴出する現象が関連してます。この噴出するジェットは、数km/secの速さなので、それを正面衝突させると相対速度が十数km /secになります。衝突時点における圧力はおよそ1 TPa (1テラパスカル≈1000万気圧)に近い圧力になる見積もられています。この圧力を爆薬の力を利用して、上の図アのようなモデルで実現できます。このモデルを使った際の金属ジェットが飛翔し、衝突する様子を図イに示してます。正面衝突の結果、図アにあるV字中心部の金属は大きくえぐれたようになります(図ウ)。これは高圧力が作用したことを意味しています。まるで隕石が地球にぶつかった後のような形にも見えます。このように通常では得られない条件を作りだして、宇宙の謎を解明したり、新しい物質の合成に期待が持てる実験方法です。

(※本学 工学部機械工学科 吉良章夫教授の研究室との共同研究です。)

SHS

B) 超高温下における高速度反応科学

図SHS.png

より引用

 数ある化学反応の中でも、極めて異彩を放っているのが自己伝播高温合成法(別名、燃焼合成法)と言ってよいでしょう。この合成方法は、上の写真にあるように、圧粉成形した混合粉体(経例えば、金属チタン粉末と黒鉛を原子比で1:1で混合したもの)の上端に強熱着火すると、マッチ棒が燃えてゆくかのごとく化学反応が自発的に進行してゆきます。この方法はロシアで発見され、後に米国や東ヨーロッパ諸国に広まりました。その特徴は、低コストであることや反応速度の速さです。日本でも、それを用いた研究が行われてきました。当研究室は日本国内で燃焼合成による化合物合成に取り組んできた数少ない研究室であり、この方法を利用して様々な非酸化物系材料を作り、その特性評価を行ってきています。以下に出て来る、MAX相材料もそのうちの一つです。

C) ナノレベルでの材料科学

ナノ観察
図11.png
図13.png

当研究室では、無機材料の合成から特性評価までを行っています。今は存在してなくとも、いずれ私たちの生活を便利にする材料や身の回りの安全を確保してくれる材料、健康に貢献する材料の提供を考えて、日夜学生諸君と共に研究に励んでいます。

その中でも、材料の構造、特に原子やイオンが規則的に集合した結晶の様子は大変重要な情報となります。このため、私たちの研究室では、人間の目では判別することができない原子の配列の情報を電子顕微鏡やX線回折装置といった高度な装置を用いて詳細に観察しています。本学の透過型分析電子顕微鏡TEMは、アメリカFEI社(現・サーモフィッシャー サイエンティフィック社)の最新鋭の機材で、日本にはじめて導入されました。

私たちの研究室では、日本初号機である電子顕微鏡を保守・管理していることもあり、頻繁に観察を行える環境にあります。

ナノ空間

d) 構造に由来する科学

図gra.png

 無機材料の構造は様々です。金属が見せる典型的な立方晶・六方晶の構造から、セラミックスが見せる複雑な構造まで、多種多様な結晶構造が見られます。その構造を利用して、これまで機能材料の開発が行われて来ました。よく知られた例は、上の模式図に見られるグラファイトです。この原子間の結びつき方から現れるナノレベルの空間が、電気化学的特性や機械的な特性を引き出したりと大活躍しています。

グラファイトに類似した構造で、金属炭化物または金属窒化物の形で最近突如として注目されてきている材料があります。その名をMAX相と言います。これは周期表中の前周期遷移金属群(Mグループ元素)と、アルミニウムや硫黄といった周期表上でAグループ元素と呼ばれる一群が、炭素または窒素(X元素)と化合した物質を指します。これらの個別に与えられた元素群の略称を並べてMAX相と呼ばれています。この名称はアメリカの研究者が2000年に命名しましたが、その存在は昔から知られており、当研究室においても既に1996年にはその合成を行い、特徴的な性質を明らかにしていました。このMAX相材料にはセラミックスと金属の中間的な性質があるだけでなく、触媒機能、電気化学的機能、一部には生体適合性があるのではという研究が報告されており、あらゆる方面に優れた特性を示すのではないかとアメリカ、ヨーロッパ、中国で注目されています。日本では、その材料にあまり注目されていませんが、私たちは以前から合成に成功していたMAX相材料の特性引き出すための研究を進めています。

触媒

e) 触媒化学

​工事中

医療

f) 人類を病から救う科学

20120206_173641.jpg

 無機材料の活躍の場は、上記の紹介を呼んで頂いても非常に幅広いことがおわかりかと思います。金属・セラミックスは、医療の現場や我々の体内にも欠かせません。例えば、二酸化チタンTiO2は「光触媒材料」として知られ、その材料を手術室内の壁面に塗布することで、壁に付着している細菌を光触媒による酸化作用で死滅させ、安全に手術が行えるように整えてあげられます。また、腹腔鏡下手術で用いられるレーザーメスは、ガラスファイバーを通したレーザー光を用いますが、そのファイバーの原料も無機材料です。

このように手術用具や強力なサポーターとして医療を支えることもできますが、私たちの研究室では、直接的に医療に貢献できるような無機材料を提供しています。例えば、ヒドロキシアパタイトHApという材料は、私たちの骨や歯を構成する重要な素材ですが、研究用試薬として入手できます。私達は本学 生物生命学部 応用生命科学科の松下琢教授の研究室と長年共同研究を行ってきています。上記のHAp素材に特殊な形態を付与し、そこへヒトの肝臓細胞を培養すると、表面形状に依存した細胞の増殖特性が表れることを見いだしました(上記の電子顕微鏡写真を参照ください)。このような経験を元に、病で苦しんでいらっしゃる患者さんのため、細胞から培養して得た人工臓器で、拒絶反応を少なくし、より安全に移植ができる環境を整えるため工学的手法から研究を推進しています。

​(※本学 生物生命学部 応用生命科学科 松下琢教授の研究室との共同研究です。)

bottom of page